辺野古、磐越道で相次ぐ生徒死亡事故 策定義務化から25年、形骸化する危機管理マニュアル

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Haruki Sato
科学 - 07 6月 2026

8人が犠牲となった大阪教育大付属池田小(大阪府池田市)の児童殺傷事件は、8日で発生から25年。事件を機に全国の学校では「危機管理マニュアル」の策定が義務付けられたが、児童や生徒が死傷する事案は後を絶たない。今年に入ってからも、沖縄県名護市辺野古沖の船転覆事故や磐越道のバス事故で若い命が失われた。ほぼすべての学校がマニュアルを備える中、形骸化させない取り組みが課題となっている。

「『学校の危機管理マニュアル作成の手引』等で示す安全管理・安全確保の取り組みが不適切だった」。今年3月、辺野古沖で船2隻が転覆し、同志社国際高校(京都府京田辺市)の生徒が死亡した事故を巡り、文部科学省は5月に公表した調査結果で、同校の危機管理マニュアルの運用不備を指摘した。

危機管理マニュアルは平成21年、学校保健安全法で幼稚園や小中高校などでの策定が義務付けられた。義務化の原点には13年に発生した池田小事件がある。

事件では、包丁を持った男が開いていた車用の門から侵入。児童8人が死亡、教員を含む15人が重軽傷を負った。学校は不審者対応に関する組織的なルールを整備しておらず、通報や救護の遅れにつながったと指摘された。

文科省は翌14年、不審者侵入時の危機管理マニュアルを作成。さらに、災害時の対応や校外活動での注意点などを盛り込んだ「学校の危機管理マニュアル作成の手引」を作り、各学校でのマニュアル整備を推進。令和5年度時点で、ほぼすべての学校がマニュアルを作成している。

にもかかわらず学校活動中に生徒が命を落とす事案が相次ぐのは、マニュアルが不十分であったり、機能していなかったりするためだ。

例えば、辺野古の転覆事故。文科省の手引は校外活動の際、現地の状況や気象情報などを十分に把握する必要があるとしているが、同志社国際高側は当日の波浪注意報を確認していなかった。同校の危機管理マニュアルには、国が校外活動の安全対策として定める事項の多くが記載されておらず、同校は文科省側に「マニュアルの整備・運用状況に不備があった」と説明した。

文科省は各学校に、マニュアル作成後も改善を重ねるよう呼びかけているが、それぞれで事情が異なることもあり、具体的な運用は現場任せの面もある。

マニュアルの形骸化を防ぐにはどうすべきか。教育現場での危機管理支援などを手がける「学校リスクマネジメント推進機構」(東京)の宮下賢路代表は、「未然防止の視点を持つことが必要だ」と話す。

発生後の想定だけでなく、未然に防ぐ考え方を持つことで、危機管理への意識も日頃から高まると指摘。教員らが専門的な知識と正しく危険性を認識する「リスクセンス」を身につけ訓練を重ねることで、実際にマニュアルを運用する際の「リスクを洗い出すことができる」とする。

池田小の事件から四半世紀。同校の荒川真一校長は「マニュアルは事件があってから確認していたのでは間に合わない」といい、「いざというときに勝手に体が動くように意識し、訓練を重ねている」と話している。

池田小事件以降も学校に不審者が侵入する事件は相次ぎ、死傷者も出ている。事件が起きるたびに学校の危機管理マニュアルの点検や見直しなどが繰り返され、新たな対策が講じられている。

令和5年3月、埼玉県戸田市の中学校に刃物を持った少年が侵入し、男性教員に大けがを負わせた事件を受け、文科省は全国の小中学校などに、危機管理マニュアルの点検を依頼した。その結果、全国95・9%の学校が不審者侵入対策をマニュアルに記載する一方、文科省が求める▽校門▽校門から校舎入り口まで▽校舎入り口-の3段階に細分化した状況下での対応まで記していた学校は59・6%にとどまった。同省は記載がなかった学校に対し、明記するよう修正を求めた。

同年7月には、宮城県栗原市の市立小で軽トラックに乗った男が無施錠の通用口から校内に侵入し、児童らをはね軽傷を負わせた。宮城県教育庁は翌月、県立学校長らに危機管理マニュアルの見直しを行うよう通知した。その際、文科省が示す3段階の体制のほか事前、発生時、事後の3段階も想定するよう指示。見直しに当たって具体的なポイントを明示することで、さらなる対策強化を図った。

7年5月に東京都立川市の小学校に男2人が侵入した事件後には、市教委が市内の小中学校に対し、不審者侵入を想定した避難訓練を年1回以上実施するよう通知した。(木下倫太朗)

東京学芸大・渡辺正樹特任教授(安全教育学)「マニュアル形骸化を防ぐために定期訓練を」

学校での危機管理マニュアルの作成率は非常に高いが、「作っただけ」で形骸化している現状がある。危機はめったに起きないからこそ、発生時の対応だけでなく、「事前の危機管理」への意識を普段から強く持ち、適宜見直しと改良を重ねていかねばならない。

そのためには、マニュアルを作成する学校側の体制も重要だ。管理職が片手間でやるのではなく、危機管理の専任者を配置するなど中核となる教員の存在が欠かせない。特に担当教員に対しては、国や自治体による研修の受講を義務化したり、教育委員会が定期的にマニュアルをチェックしたりすることで、実効性のあるものとなる。

最も怖いのは「マニュアルを作ったから大丈夫」と油断すること。作成は当然のことで、問題点を洗い出すためにも、定期的な訓練の実施は欠かせない。訓練で見えてきた課題を踏まえ継続的な見直しを行うことで初めて危機へのリスクを下げることができる。

池田小事件から25年となり、当時を知る教員らの世代交代が進む。全国の教員が事件を昔のこととせず「うちの学校でも起こりうる」という意識を持つことが危機管理の本質だ。

編集部注:この記事はAIを使用して作成されており、産経新聞の記事を元に、内容を変更せずにリライトしたものです。
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